2016年4月。
報道に関する調査で来日していた国連人権委員会のデイビッド・ケイ氏は有楽町にある外国人記者クラブの記者会見で、「日本の報道の自由は今危機にある」と警告した。
ケイ氏がこの報告書を出したきっかけは、2月8日の衆院委員会の高一早苗(たかいちさなえ)総務大臣の発言だ。
高市大臣はこの時、「政治的に公平さに欠ける放送が繰り返された局に対し、電波停止を実施する可能性」に言及している。
日本にいる間に話を聞いたジャーナリストのほとんどが、匿名を条件にしてきたことにさらなる危機感を抱いたケイ氏は、4月19日に以下の内容で緊急報告書を公表した。
①大手メディアだけがアクセスできる排他的な記者クラブ制度の廃止
②政府がメディアをコントロールできる根拠となる放送法4条の廃止
③政府の代わり、放送機関を監督する機関の設立
④取材者と情報提供者が罰則を受ける恐れのある特定機密保護法の改正
政府がジャーナリズムへ圧力をかけていると批判し、「日本のジャーナリストたちよ、横並びに連帯して立ち上がれ」と叱咤(しった)激励したケイ氏はおそらく、大手マスコミの反応がこんなにも鈍いことに、首をかしげていたことだろう。
外国人記者クラブで記者会見を行ったジャーナリストたちが高市大臣の発言に、「政府からのマスコミへの圧力は許しがたいと抗議の声をい上げる一方で、著名な地上波テレビ番組の司会者は、「政権からの圧力なんか無い、マスコミがだらしないだけだ」と一蹴した。
ある雑誌記者は私に、国連人権委員会自体の信憑性に疑問を投げる。デイビット・ケイ氏が来日前に大学で行った対談が、日本を批判する姿勢に満ちていたからだ。
ここで私たちは混乱する。
いったい日本の<報道の自由>は、どうなっているのだろう?
つづく
<第4章 「脳内世界地図」をアップデートせよ!>より抜粋
転載:『政府はもう嘘をつけない お金の流れで世界を見抜け』 堤未果 2016/7/10 角川新書
報道に関する調査で来日していた国連人権委員会のデイビッド・ケイ氏は有楽町にある外国人記者クラブの記者会見で、「日本の報道の自由は今危機にある」と警告した。
ケイ氏がこの報告書を出したきっかけは、2月8日の衆院委員会の高一早苗(たかいちさなえ)総務大臣の発言だ。
高市大臣はこの時、「政治的に公平さに欠ける放送が繰り返された局に対し、電波停止を実施する可能性」に言及している。
日本にいる間に話を聞いたジャーナリストのほとんどが、匿名を条件にしてきたことにさらなる危機感を抱いたケイ氏は、4月19日に以下の内容で緊急報告書を公表した。
①大手メディアだけがアクセスできる排他的な記者クラブ制度の廃止
②政府がメディアをコントロールできる根拠となる放送法4条の廃止
③政府の代わり、放送機関を監督する機関の設立
④取材者と情報提供者が罰則を受ける恐れのある特定機密保護法の改正
政府がジャーナリズムへ圧力をかけていると批判し、「日本のジャーナリストたちよ、横並びに連帯して立ち上がれ」と叱咤(しった)激励したケイ氏はおそらく、大手マスコミの反応がこんなにも鈍いことに、首をかしげていたことだろう。
外国人記者クラブで記者会見を行ったジャーナリストたちが高市大臣の発言に、「政府からのマスコミへの圧力は許しがたいと抗議の声をい上げる一方で、著名な地上波テレビ番組の司会者は、「政権からの圧力なんか無い、マスコミがだらしないだけだ」と一蹴した。
ある雑誌記者は私に、国連人権委員会自体の信憑性に疑問を投げる。デイビット・ケイ氏が来日前に大学で行った対談が、日本を批判する姿勢に満ちていたからだ。
ここで私たちは混乱する。
いったい日本の<報道の自由>は、どうなっているのだろう?
つづく
<第4章 「脳内世界地図」をアップデートせよ!>より抜粋
転載:『政府はもう嘘をつけない お金の流れで世界を見抜け』 堤未果 2016/7/10 角川新書