「マインド・コントロール」と「洗脳」は、どう違う
マインド・コントロールは、「洗脳」(ブレインウォッシング)とどう違うのか。これもみなさんからよく聞かれることです。
洗脳は、中華人民共和国が成立(1949年)した後、数年にわたって全国的に行われた知識人の思想改造に対して、中国外の反対者が非難するときに使った言葉とされています。(平凡社」『世界大百科事典』の記述による)。
逆に、朝鮮戦争(1950年~53年)で捕虜にしたアメリカ兵に対して共産主義を信じるように迫った行為を、中国共産党自らが洗脳と呼んだ、という説もあります。
いずれにせよ、ブレインウォシングがアメリカで騒がれたのは、共産圏に捕らわれた米兵が次々と「自分は共産主義者だ」と宣言し、その映像や手紙が公開されたからです。同じようなことは、戦後ソ連や中国に抑留された日本兵や、ベトナム戦争で捕虜になった米兵に対してもあり、文化大革命時代の中国は国民に対してやっていました。
洗脳がマインド・コントロールと異なるのは、単純な精神操作にとどまらず、隔離・拘束・監禁・暴力(ときには拷問)・薬物使用といった外形的な行為が伴う点だと考えられています。
敵国の捕虜となって収容所に入れられた兵士は四六時中、生命の危機を感じる監禁状態にあります。その中で徹底的な教科学習、自己批判を強制され、場合によっては暴力を受けて、「北朝鮮という国は素晴らしい」などと言い出すわけです。
したがって、洗脳は監禁状態がなくなれば解けやすいのです。例えば、捕虜だった兵士が帰国すると、やがて自然に共産主義思想を捨ててしまいます。