本日は世界津波の日
産業技術総合研究所活断層・火山研究部門 海溝型地震履歴研究グループ長 宍倉正展 https://staff.aist.go.jp/m.shishikura/CV.htm
そのとき私は、勤務先の独立法人産業技術総合技術研究所(茨城県つくば市)の図書室にいた。激しい揺れに書棚が倒れ。書籍が雪崩(なだれ)のように落ちてきた。身の危険を感じ、すぐ近くのテーブルの下に身を潜めた。
大きい。そして長い。
「これは、大変なことになるかもしれない」
私は。揺れへの恐怖よりも震源地とその規模が気になった。なんとか書棚の下敷きになるのを免れ、避難すると。すぐに携帯通信端末の画面を叩き、米国地質調査所のサイトを食い入るようにして見た。こんなときは気象庁よりも米国地質調査所の方が信頼できる。暫定マグニチュード8.8、地図上の震源を示すマークは宮城県沖。全身から血の気が引いていき、戦慄(せんりつ)が走った。
「貞観の再来だ。津波、巨大津波が来る」
私は大声で叫んでいた。
すべての建物が停電し、ほどなくして通信端末の電波も途絶えた。情報がない。
だが今の瞬間、巨大津波が海を伝い、沿岸に迫っているに違いない。いったい現地はどうなっているのか?
つくばの美しい山並みが見える窓の外の景色は、ふだんであれば私たち研究者を癒してくれるが、今はそれどころでない。
「逃げてくれ、いますぐに。高台へ、すぐに逃げてくれ」
窓の外に向かって、私はただ祈るしかすべがなかった。
(つづく)
出典:『次の巨大地震はどこか!』「第1章 東日本大震災はなぜ起きたのか」
宍倉正展 ミヤオビパブリッシング 2011/9/9
●「東北地方太平洋沖地震」その5「貞観地震」との関連について
http://tarouroom.blog89.fc2.com/blog-entry-1169.html
11月4日の記事の大木聖子さんの夫が宍倉正展さんです。
下記の「夢の深層 PART3」(動画)をご覧になっていない方はご覧下さい・
※2020.2.27更新