1.政治資金規正法違反疑惑、小沢一郎氏への追及(一部省略)
世間を騒がせた小沢一郎元幹事長の政治資金規正法違反容疑に関してはどうでしょうか。東京地検特捜本部側が意図的にリークを続け、2008年12月頃から大新聞が各紙一斉に一方的な報道を続けました。
小沢幹事長の問題で検察が起訴しようとしたのは、政治資金報告書への記入が2カ月ほど遅れたということと、4億円の出所が本当に親から譲り受けたお金だったのか、自分のお金だったのか、その中には建設会社からの献金は入っていなかったのか、ということです。しかしこれは基本的に司法の仕事であり、まして、立法府である国会の審議の対象とはならないはずのものです。
こういう騒ぎがなぜ起きるかというと、テレビが報道番組と共にワイドショーでも、あたかも芸能ニュースのように好奇心丸出しで取り上げるからです。
そして国会議員にとっても、テレビ中継で疑惑を追及する自分の晴れ姿が映れば、選挙区民へのいい宣伝になるからです。本当に困ったものです。
それよりも、もっと日本経済に重大な問題があるにもかかわらず、見当外れのことを取り上げて、重大なことが見逃されれば、それこそ本末転倒になります。やはり、テレビのアンテナは抜くべきです。
出典:『洗脳を解けば、人生すべてはうまくいく』 苫米地英人 日本文芸社 2010年
2.テレビの世論誘導に警戒せよ
欧米では、1970年代から「テレポリティクス」の危険性が指摘されてきました。
「テレポリティクス」とは、テレビの誘導や影響によって政治が大きく動くことを意味しています。
日本でも、小泉内閣の郵政選挙や民主党への政権交代など、テレビ報道が世論を動かした典型例が
あります。
国際政治学者の中西輝政氏によると、欧米のテレビ局は、テレビがもたらす害を防ぐために、様々な規定を設けているそうです。例えば、正式な政治討論番組ではコマーシャルを禁止する、出演する討論者には発言の機会と時間が均等に与えられなくてはならない、あるいは政治をバラエティ風に扱わないといった規定や制限があるといわれています(サンマーク出版『情報を読む技術』)。
これに対して、日本のテレビ局はどれ1つとして守られていない(NHKはコマーシャルは流しませんが)ことは明らかでしょう。
・・・・・・中略・・・・・・
2010年の民主党代表選挙の際に、フジテレビが「とくダネ!」において街頭インタビューが放映されました。このときインタビューが、「民主党の代表選で、小沢一郎氏が代表になったら、どう思われますか?」と尋ねていました。
ごく当たり前のように思えますが、当時、小沢氏に対しては献金問題に関する悪意ある報道(検察側は不起訴相当としたが、検察審査会が起訴。小沢氏に対して攻撃的な論調が多かった)をしていた流れを考えれば、「問題ですね」とか、「不安を感じますね」という答えを期待した誘導尋問と受け取られても仕方ないでしょう。顔も映されているわけですから、このような状況下で堂々と小沢氏を支持するには相当度胸のいることです。
実際に、テレビ側の期待通り、70%ほどの人が小沢氏への不安を口にしたようです。
こうした誘導形式のインタビューは、頻繁に行われています。視聴者が自分で考えて疑問を持ち、別のメディアで調べてみるということをせずに、安易に結果だけを見て信じると、結局はテレビに洗脳されてしまうことになります。
視聴者側はそのことを想定し、その点を差し引いて、常に自分で判断しながらテレビを観る必要があります。
3.一方的な情報はまず疑え
すでに述べてきたように、テレビで取り扱う情報は一元的であり、様々な論点や争点があるにもかかわらず、そういったことは省かれ、テレビ局側で1つの論点に絞り、あらかじめ結論有記の報じ方、コメントがなされることが非常に多いのです。
・・・・・・略・・・・・・
出典:『テレビに洗脳される脳』 和田秀樹 徳間書店 2012年
和田 秀樹:精神科医(川崎幸病院精神科医顧問)、臨床心理士、国際医療福祉大学院教授
注:和田秀樹 オフィシャルブログ http://ameblo.jp/wadahideki/
世間を騒がせた小沢一郎元幹事長の政治資金規正法違反容疑に関してはどうでしょうか。東京地検特捜本部側が意図的にリークを続け、2008年12月頃から大新聞が各紙一斉に一方的な報道を続けました。
小沢幹事長の問題で検察が起訴しようとしたのは、政治資金報告書への記入が2カ月ほど遅れたということと、4億円の出所が本当に親から譲り受けたお金だったのか、自分のお金だったのか、その中には建設会社からの献金は入っていなかったのか、ということです。しかしこれは基本的に司法の仕事であり、まして、立法府である国会の審議の対象とはならないはずのものです。
こういう騒ぎがなぜ起きるかというと、テレビが報道番組と共にワイドショーでも、あたかも芸能ニュースのように好奇心丸出しで取り上げるからです。
そして国会議員にとっても、テレビ中継で疑惑を追及する自分の晴れ姿が映れば、選挙区民へのいい宣伝になるからです。本当に困ったものです。
それよりも、もっと日本経済に重大な問題があるにもかかわらず、見当外れのことを取り上げて、重大なことが見逃されれば、それこそ本末転倒になります。やはり、テレビのアンテナは抜くべきです。
出典:『洗脳を解けば、人生すべてはうまくいく』 苫米地英人 日本文芸社 2010年
2.テレビの世論誘導に警戒せよ
欧米では、1970年代から「テレポリティクス」の危険性が指摘されてきました。
「テレポリティクス」とは、テレビの誘導や影響によって政治が大きく動くことを意味しています。
日本でも、小泉内閣の郵政選挙や民主党への政権交代など、テレビ報道が世論を動かした典型例が
あります。
国際政治学者の中西輝政氏によると、欧米のテレビ局は、テレビがもたらす害を防ぐために、様々な規定を設けているそうです。例えば、正式な政治討論番組ではコマーシャルを禁止する、出演する討論者には発言の機会と時間が均等に与えられなくてはならない、あるいは政治をバラエティ風に扱わないといった規定や制限があるといわれています(サンマーク出版『情報を読む技術』)。
これに対して、日本のテレビ局はどれ1つとして守られていない(NHKはコマーシャルは流しませんが)ことは明らかでしょう。
・・・・・・中略・・・・・・
2010年の民主党代表選挙の際に、フジテレビが「とくダネ!」において街頭インタビューが放映されました。このときインタビューが、「民主党の代表選で、小沢一郎氏が代表になったら、どう思われますか?」と尋ねていました。
ごく当たり前のように思えますが、当時、小沢氏に対しては献金問題に関する悪意ある報道(検察側は不起訴相当としたが、検察審査会が起訴。小沢氏に対して攻撃的な論調が多かった)をしていた流れを考えれば、「問題ですね」とか、「不安を感じますね」という答えを期待した誘導尋問と受け取られても仕方ないでしょう。顔も映されているわけですから、このような状況下で堂々と小沢氏を支持するには相当度胸のいることです。
実際に、テレビ側の期待通り、70%ほどの人が小沢氏への不安を口にしたようです。
こうした誘導形式のインタビューは、頻繁に行われています。視聴者が自分で考えて疑問を持ち、別のメディアで調べてみるということをせずに、安易に結果だけを見て信じると、結局はテレビに洗脳されてしまうことになります。
視聴者側はそのことを想定し、その点を差し引いて、常に自分で判断しながらテレビを観る必要があります。
3.一方的な情報はまず疑え
すでに述べてきたように、テレビで取り扱う情報は一元的であり、様々な論点や争点があるにもかかわらず、そういったことは省かれ、テレビ局側で1つの論点に絞り、あらかじめ結論有記の報じ方、コメントがなされることが非常に多いのです。
・・・・・・略・・・・・・
和田 秀樹:精神科医(川崎幸病院精神科医顧問)、臨床心理士、国際医療福祉大学院教授
注:和田秀樹 オフィシャルブログ http://ameblo.jp/wadahideki/