「勝手に死ね!」と責任逃れ

  政府(防災担当部門)ですら公言している。
「最初の3日観は助けません」「それぞれ、生き延びてください」
 正直というか、無責任というか‥‥‥。つまり、首都が大震災が襲ったとき、行政は「住民救助は“絶望的”」と投げ出している。最初に「助けけません」と言っておく。するとあとで責任を問われることはない。役人らしいズルがしつこさだ。
 阪神大震災の惨劇を思い起こしてほしい。
 地震発生から3日もたてば、すべてが“終わっている”。
 家屋倒壊、圧死者続出、そして、火災発生、焼死者続出‥‥‥。
 3日後には火災も鎮火し、悲しみが残っているだけだ。それから、政府は救助に“出動”するという。
「3日間は助けない」。これは「勝手に死ね」と言っているに等しい。
「政府は助けてくれない」。その現実を踏まえて「火災リスクマップ」を凝視してほしい。
 あなたの住んでいる場所を、地図に書き込んでみる。そして、「生き残れるか?」
 自問自答してほしい。
 
火事で100%助からない?

 一目みて、焼死リスクは住宅地密集地域に集中している。
 火災危険度1位の足立区千住柳町から10位の足立区千住4丁目までは、超危険地域だ。
 誤解を恐れずにいえば「火事になったら100%助からない」。
 行政は、そう“告知”しているのだ。それは近隣地区も同じだろう。
「地震だ!火を止めろ!」。これまでの常識だった。しかし、今は違う。
「地震だ!机の下に!」。震度6~7クラスでは立てない。ガスコンロまでたどりつけない。それより建物が上から崩れてくる。テーブルなどの下に逃げ込まないと圧死する。
 火の始末より、命の始末だ。
 ガスには地震時の安全装置があるものの、火災はあらゆる場所から発生する。
 さらに、火災原因となるのが通電火災だ。電気コードなどに家具が倒れる。シュートすう。火花から発火する。さらに、家屋倒壊でもおびただしい犠牲者が出る。

下町の密集地は倒壊、炎上する

 次ページは「倒壊リスクマップ」だ。
「23区ほぼ全域が震度6強の揺れに襲われる」。
 その激震は想像を絶する。都民は体験したことがない。「9割以上の木造家屋が倒壊する」と専門家は予測する。都のハザードマップは「倒壊や火災で建物被害は30万4300棟」という。9割が倒壊すれば、とてもそんな“少ない”数字ですむはずがない。
 倒壊予想地域を見ると、地図上に集中している。墨田区、足立区、荒川区、台東区、‥‥‥。いわゆる下町エリアが壊滅することを示す。ここには木造家屋が密集する。
 倒壊危険度1位:墨田区京島2丁目から10位は墨田区京島3丁目。ワースト上位の地域はあらゆる家屋は全壊、倒壊し尽くすだろう。しかし、ここで何位かを気にすることもナンセンス。
 地図の色の濃い地域は、ほぼ100%壊滅する。そう考えたほうがいい。
 わたしは頭がクラクラしてくる。
 下町には数百万人もの人たちが生きている。その住宅や建物が壊滅状態となる。その後、確実に火災が発生する。“炎の竜巻”火災旋風が荒れ狂う。一帯は炎の海となる。さらに、この地域は海面下の“海抜ゼロメートル”地帯。さらに、河川沿岸、湾岸で“液状化”危険地帯だ。地盤の「側方流動」では防潮堤防が破壊される。高さ数メートルの海水が流入する。さらに、今度は沖合から津波が追い討ちをかける。これで、生き残れたら、まさに奇跡だ。


出典:『巨大地震だ、津波だ、逃げろ!』船瀬俊介 ヒカルランド 2013.12.31
(Chapter 3「首都炎上、焼滅、あなたは助かるか?」)